鹿児島大学の菅野康太さんのご依頼で、USVCAMという装置のイメージアイコンを制作いたしました。
『超音波発声音源定位装置』と聞いてもピンとこない方が多いと思いますので、イラストを添えて簡単にまとめてみました(間違ってたらあとで直すかも・・・)。
この装置はマウスの鳴き声によるコミュニケーションについての実験のときに使われるそうです。
ちなみにマウスの鳴き声はチュウチュウみたいなイメージありますがここでいう鳴き声は、マウスが発する超音波を指します。
口を開けたり、耳で聞き取れる音を出すわけではないので人間が観察してもどのマウスが鳴いているのか、今鳴いているのか?はわかりません。
そこでカメラとマイクを用いて鳴いているマウスを特定する装置があるそうです 。音源定位マイクロホンアレイと呼ばれるもので音の到達時間のズレで、音源=鳴いたマウスを特定するものだそうです
でも、この装置を使うのには以下のような気遣う点があります。
- マウスとマイクが設置されてる場所との間に壁があると無理なので広さが必要
- さらにそういう環境は普段ネズミを飼育している環境では作れないので、測定の際にマウスを普段と違う環境に置かなくてはいけない
- マウスが不安
この装置を使うと、過去に調べられた実験状況においては、2匹のうちどっちが鳴いてるかわかってるんだけど、新しいことやるときは常に謎だね・・・となるわけで。
でも鳴いてるマウスの判定自体が上記のようにおおごとなので、実験のたびに頻繁に確認するのがちょっとな〜となって、実験への足取りが重くなる・・・という状況です。
USVCAMの有用性
同じように鳴いているマウスを判定する仕組みですが、USVCAMでは、マイクがカメラと同じ位置に集約されます。
これによって、上記で書いた課題が解決されます。
- マウスとマイクが設置されてる場所との間に壁があると無理なので広さが必要
→装置の下にケージをもってくればいい - さらにそういう環境は普段ネズミを飼育している環境では作れないので、測定の際にマウスを普段と違う環境に置かなくてはいけない
→装置の下にケージをもってくればいいので、ネズミはいつもどおりの環境 - マウスが不安
→環境が変わらないのでマウスはいつもどおりに過ごせる
さらに、
- 2匹の声が同時に出てても(声紋が重なっても)、どっちの声か定位もできる
ようになるそうです。つまり実験する側にも、ネズミにも優しい装置なのです!
YouTubeで測定イメージが見れます。鳴き声はほんとは聞こえないけど鳴いたタイミングににつけてるそうです
鳴いたネズミの頭のあたりに色がつきますね!
イラストについて
他のネズミが自分の居場所に入ってきたときに鳴くのをチェックしていることから、2匹のネズミが出会っているところです。上にUSVCAMがあり、下でネズミが鳴いてそのエリアに色がついて知らせてくれています。
言葉だけで聞くと難解な感じがしますが、こうやって絵になると少しはイメージが伝わりやすいのではないでしょうか?
実はわたしは工学部出身でこういう理工学系の実験で求められる前提のことなどを自然とイメージできていたため、思いの外話が早く進み、それを今の自分の仕事で活かすことができたのでとてもやりがいを感じる事例となりました。
同じように、言葉で表現しづらい新技術等を絵にするという仕事も今後チャンスが有ればまたやっていきたいです。